2008年度 特別授業

オースチン日本語補習授業校 特別授業

日時: 2008年12月6日 午後12時15分~1時

場所: O. Henry Middle School カフェテリア

宇宙には不思議がたくさん。太陽はどうして光っているの?

星はどこにあるの?

宇宙はどれくらい大きいの?

地球は他にもあるの?

ブラックホールって何?

宇宙には、もっと不思議な事もたくさん。宇宙はどうやってはじまったの?

宇宙の未来はどうなるの?

そして、私たちにとっての宇宙って何なのだろう?

このお話では、私たち天文学者が長年かけて解明してきた宇宙の本当の姿を、わかりやすく紹介します。

12月6日の放課後、テキサス大学准教授の小松先生をお迎えして、「宇宙の不思議」と題した特別授業をし ていただきました。補習校の小中学部の児童・生徒全員、先生、希望する幼稚園児と保護者がカフェテリアに集まり、普通授業のように「起立、礼、着席」で特 別授業が始まりました。

舞台のスクリーンの上には無数の星の画面が大きく映し出されました。

大学の准教授とは思えない(?)ほど、「宇宙の不思議」を子供たちにもわかりやすく説明してくださいました。絶えず、子供たちに問いかけ、子供たちの参 加を促し、子供たちの質問に親切に答える先生に、子供たちも引き込まれました。また、ユーモラスな喋りにも、何度も笑いが巻き起こりました。

子供たちにも親しみのある「オリオン座」から始まり、もっとも身近な「太陽」のことを学び、いよいよ、光の速度よりも速い宇宙への旅へ出発しました。小 松先生を最初に魅了したという、光が1600年かかる、オリオン大星雲へ20秒で一飛び。光が230万年かかるというアンドロメダ銀河へは30秒、その速 さに目がくらむようでした。

宇宙が生まれたビッグバンセオリー、宇宙の誕生をジェスチャー混じりに話す先生は、とても生き生きと見えました。

みんなが一番興味を示したブラックホール。その不思議な存在の正体は?みんな興味津々です。

楽しい授業は、宇宙旅行とともに、あっという間に終わり、地球に帰った私たちは、水滴の中に吸い込まれ、原子の世界へと・・・新たな冒険が始まる余韻を残して先生の授業は終わりました。

質問の時間になると、幼稚園児から中学生までたくさんの子供たちが手をあげました。

地球はどうやってできたの?

ブラックホールの中はどうなっているの?

ブラックホールはいくつあるの?

ブラックホールのなかには何が入っているの?

ブラックホールは、他のブラックホールを吸い込むの?

宇宙は今後もずっと広がり続けるの?

小松先生の今後の研究課題は?

まだまだ、質問をしたい子供もいましたが、残念ながら、時間が来てしまいました。

最後は、校長先生から、小松先生が死に物狂いでなさった研究が認められ、12月10日にバンクーバーで、世界でも数名の優秀な若手物理学者に送られる賞 を受賞されることになっているというニュースが発表され、会場が湧きました。軽い冗談を交えながら、観客を笑わせてくれた小松先生でしたが、「普段はまっ たく違います。」という校長先生のコメントに子供のように照れ笑いをなさっていた小松先生が印象的でした。

小松先生の質問に熱心に答えようと、何度も手を上げる積極的な子供も何人もいました。小松先生もご自分が天文学に魅せられた時のことを思い出されたことと思います。この子供たちの中から、先生のような天文学者が出てくるかもしれません。

小松 英一郎氏 プロフィール

1974年、兵庫県宝塚市生まれ。小学校5年生の時、父に買い与えられた天文学の図鑑に惹かれ、将来は天文学者になると決める。地元の高校を出た後、1993年、宮城県仙台市の東北大学理学部に入学。この頃、将来の妻となる緑と出会う。

1999年に理学修士号を受けた後、渡米。プリンストン大学にて宇宙論の研究を行う。2001年に博士号を取得し、プリンストン大学ポスドク研究員を経 て、2004年よりテキサス大学天文学科助教授。2008年より同准教授。主な研究業績は、宇宙の年齢の決定(137億歳)、宇宙の組成の決定(5%が通 常の物質、23%が暗黒物質、72%が暗黒エネルギー)、など。主な受賞歴は、日本天文学会研究奨励賞(2004年)、アルフレッド・スローン財団スロー ンフェロー(2005年)、東北大学森田記念賞(2006年)、国際純粋・応用物理学会若手物理学者賞(2008年)、など。