オースチン日本語補習授業校 特別授業
日時: 2013年2月9日 午後12時15分~1時
場所: O. Henry Middle School カフェテリア




 2月9日の放課後、テキサス大学准教授の西山先生をお迎えして、「アタマのつくりかた」と題した特別授業をしていただきました。

 補習校の小中学部の児童・生徒全員、先生、希望する幼稚園児と保護者がカフェテリアに集まり、大きなスクリーンを前に着席しました。校長先生から西山先生のご紹介があり、早速、講義が始まります。


 西山先生の「アタマって何してる?」という質問に、子供達は即「考える」「体に命令してる」「何か覚える」などの答え。
続いて、「肺、心臓、脳、肝臓、胃、腸の中で、どれが一番大事だと思う?」という質問に、たくさんの生徒が高く手を挙げ、「心臓」「脳」と大きな返事。もう、授業は先生のペース。まるで理科の授業そのものです。

 次に神経細胞(ニューロン)の話。その数一千億から二千億という0の数にみんな「オーッ」。

 ニューロンがシナプスを使って情報を伝える説明では、運動会のリレーのバトンを渡すイラストに笑い。

 子供達は朝からの補習校の授業で疲れているのかと思いきやその反応はばっちりです。


 コンピュータ VS 人間の脳

 コンピュータより遅い、失敗もある脳がどうしてちゃんと働くのか?

 生まれつきの設計図だけでは、1000億のニューロンを500兆ものシナプスで正しく繋げることはできない。ちょっと話は難しくなってきました。

 ルール「よく使われるニューロンが生き残る」ことの説明に生後しばらくの猫の片目にパッチをして隠しておくと、その目はパッチをとっても、見えなくなるという実験例。子供達にはちょっとショックな話だったかも。

 その実験のことずっと考えていたのか、しばらくして、ある女の子から、突然、「猫の目を二つとも隠してしまうとどうなるのか」という質問。大人も思いつ かないような、鋭い質問に、先生も驚き。でも、さすが先生、ちゃんと答えをご存知で、「一つだけ見えないことは起こらないが、正しく見えなくなる」と。さ て、その女の子は、その後どんなことを考えたのでしょう。ちょっとしたきっかけで、次世代の脳科学者が生まれることも。

 
 シナプスの数は10歳がピーク、30歳になるとその半分まで減ってしまうという悲しい事実。子供のころは、苦労なく言葉を覚えられるのに、大人になると 外国語はとても覚えにくくなることは、周知の事実。でも、シナプスは大人になってからも新しくできるという事実も分かっているとのこと。大人には、ちょっ とうれしい話でした。 
 
 さすが先生、みんながちゃんと復習できるように「本日のまとめ」がありました。

1,ニューロンは1つ1つは性能がいいとは言えない。
2,どのようにつなげるか大まかに決められている。
3,よく使われるものが残るというルールで減っていく。

 宿題がなかったのがおかしいぐらい、本当の授業でした。


 最後の質問コーナーでは、一度にたくさんの子供達が手を挙げました。先生も、誰を指名していいか迷ってしまわれたことでしょう。

「ものが見えないとか聞こえないというのは、つながりがこわれているのか。」
「男と女で脳に違いがあるのか。」
「死んでしまった脳には、充電できないのか。」
「どうして目や耳が脳の近くにあるのか。」
「ニューロンはどうやって消えるのか。」
「夢は脳の中で作られるのか。」

等の思いもかけない質問に先生も頭をひねるシーンも。でも、ほとんどの質問に丁寧に答えてくださって、先生の知識の深さが伺えました。

 特別授業が終わってから、先生のところに質問に来る子供達に、熱心に答えていらっしゃる西山先生の姿がありました。西山先生は、ご自分の研究だけでなく、後継者の啓発、育成にも力を尽くされていくことでしょう。

 

西山 洋氏 プロフィール

1973年、京都府京都市生まれ、京都育ち。1992年、物理学を志して京都大学理学部に入学するが、初めてまともに勉強した生物学が面白くなり、心変わ りする。特に、まだわかっていない事が多そうな神経生物学に惹かれ、神経生物学者を志して京都大学大学院理学研究科に進学する。大学院時代の研究の大半 は、埼玉県の理化学研究所脳科学総合研究センターで行う。2002年、博士号を取得して渡米。メリーランド州のジョンズホプキンス大学神経科学科で博士研 究員として修業する。2007年、ジョンズホプキンス大学医学部若手研究者賞受賞。2008年よりテキサス大学神経生物学科助教授。専門は、脳の発達、及 び学習における神経回路の形態変化。



写真提供: 春木さん